結核は昔の病気と思いがちですが、現代の日本にも存在しています。では、結核とはどんな症状なのでしょうか。

結核とレントゲン

結核の検査はントゲンだけでも大丈夫?

少し前に、レントゲン所見の出現の遅れのために診断が遅れ、その後結核の集団感染に発展し、社会問題となったニュースが流れました。
結核菌の保菌しているだけ、または発病しているが初期症状である場合は、レントゲンに写らないことがあり、診断が遅れることがあります。進行した結核であれば、異常が写り、発見に至ることができるのですが、初期の場合はどうしたらよいのでしょうか?

高齢者は結核に注意!早期発見には自治体の健診も有効

日本では、結核の新規登録患者はその半分が70歳以上です。重症化した場合、命の危険にも結び付く結核の治療は、何よりも早期発見が重要です。会社や自治体が実施する健康診断などを利用し、定期的に感染をチェックしていきましょう。

高齢者がかかりやすい?「結核」という病

近年、新規に結核患者として登録される方の5割以上が70歳以上の高齢者です。
結核患者の高齢化は年々進んでいる現象ですが、特に高齢者は結核にかかると重症化しやすく、場合によっては命の危険も伴うため、早期発見・早期受診が重要なポイントとなっています。
日本人10万人に対する結核による死亡率を見てみると、70歳未満はおおむねほぼ0%なものの、
70代は5.3%、さらに80歳以上では15.8%と急激に上がっています(2014年)。
結核菌が体内に定着している状態を「感染」、その菌が増殖して症状を表すことを「発病」と区別します。結核は実は感染しているだけでは必ずしも発病するとは限りません。一方で、感染後20年経ってから症状が出ることもあるなど、感染自体が分かりにくい病気でもあります。
上記の高齢者の結核発病者の中には、このように過去結核に感染しており、高齢化に伴って落ちていく免疫力のために発病した方が含まれると考えられています。
また、過去に結核を発病していて治療を行い、症状がおさまった場合でも、体内から結核菌を除去しきれていなかった場合は再発することもあります。
結核は法定感染症ですので一部または全額の公費助成が受けられます。仮に再発した場合でも安心して治療を受けましょう。







結核の治療には早期発見が重要

結核の症状は咳き込みや長引く微熱など風邪の症状によく似ているため、知識がない場合は病院に行くのが遅れてしまう場合があります。
結核の治療には早期発見が有効ですので、二週間以上長引く咳や痰、胸の痛みなどがあればすぐに医療機関を受診しましょう。
また、職場の健康診断や、自治体の肺がん・結核健診で喀痰検査、胸部X線検査を受けられる機会があります。
喀痰検査と胸部レントゲン検査は、肺がんや結核にかかっている恐れがある患者さんを抜き出すための「スクリーニング検査」と呼ばれるもので、仮にこの検査で疑いが出た場合は専門の医療機関でさらに詳しい検査を受ける必要があります。
定期的に健診に通うことで、症状に気付かなくても結核や肺がんを早期に発見することができますので、こういった機会があれば特に高齢者の方はぜひ受診を考えてみましょう。

参考資料

疫学情報センター __ 「結核の統計」資料編(死亡率)

肺がんの疫学

平成26年結核登録者情報調査年報集計結果(概況)|厚生労働省.

予防会のあゆみ1939-1945 _ 公益財団法人結核予防会 資料館.html

東京都 結核接触者健診マニュアル

がん検診・厚生労働省

肺がん検診ガイドライン公開フォーラム

平成 26年結核登録者情報調査年報のポイント(文章編)

徳島県医師会の健康相談