結核の症状
結核にはどんな種類があるの? かかった時の症状とは?
現在でも日本人10万人あたり15.5人がかかっている結核。結核の症状は風邪にそっくりなため、お医者さんでも見逃してしまうおそれがあると言われます。結核にはそもそもどんな種類があり、症状はどういったものなのかを見ていきましょう。
結核には病巣部位ごとに種類がある
そもそも結核とは、空気中の結核菌が体内に入り、ある部位で増殖することによりいろいろな症状が出てくる病気です。
結核の症状として「咳が止まらない」「喀血する」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、結核患者の約8割がかかっているとされるのが、このイメージ通りの症状を表す、結核菌が肺を病巣として増殖する「肺結核」です。
しかし、結核菌は全身のどこでも増殖する性質があります。肺以外の場所で結核菌が増殖し発病することを「肺外結核」と呼び、それぞれ「脳結核」「リンパ節結核」「腎結核」「脊椎カリエス」など、病巣によって異なる病名が付けられています。
症状にはどういったものがあるの?
結核のほとんどを占める肺結核の症状は、成人の場合、一般的にはそれほど劇的には進行しません。当初は、微熱や咳き込み・くしゃみなどが長い間続くという、風邪によく似た症状で推移します。ありふれた風邪に思えるために、本人はもちろん、お医者さんでさえも結核であることを見逃す可能性があると指摘されています。
ある程度悪化したら落着き、またしばらくすると悪化していくというサイクルを繰り返すのが肺結核の特徴でもあります。
子ども、特に乳幼児の結核は重くなりやすい
結核菌に対する抵抗力については、特に一歳までの乳幼児は特に弱く、小学生になると増し、中学生になると再びやや弱くなる傾向があるという研究があります。
特に赤ちゃんは体が小さく、免疫力も低いため、症状が出て気付く前に結核菌が一気に全身に広がってしまうという危険な状態に陥ることが多いようです。赤ちゃんがかかりやすく、命の危険を伴う肺外結核は脳に病巣が広がる「結核性髄膜炎」や、全身に病巣が広がってしまう「粟粒結核」などです。
現在は予防接種法により1歳になるまでの間、標準的には5か月から8か月の間に予防接種であるBCG接種が行われているため、結核発病者における乳幼児の割合は比較的少ないとされています。
薬の誤用で引き起こされる「多剤性結核」とは
結核は、現在では投薬を一定期間しっかり続ければ完治する可能性の高い病ですが、その薬の飲み方を間違えると、新たな結核が生まれてしまいます。
結核の治療には抗結核薬を数種類同時に使いますが、この薬を飲み忘れてしまったり、組み合わせを間違ったりすると、結核菌にこれらの薬に対する耐性ができてしまい効かなくなることがあります。この、薬が効きにくくなってしまった結核を「多剤性結核」と呼びます。
多剤性結核にかかってしまうと治癒率が大幅に下がってしまうので、結核治療の際には決して自己判断や誤った知識で薬を飲まず、医師の指示通りに正しく服用するようにしましょう。
参考サイト、参考文献
結核とBCGワクチンに関するQ&A|厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/bcg/
BCGの効果検討 厚労省、定期接種中止も視野 :日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLZO96489550U6A120C1000000/
『結核を防ぐ、治す』森亨,講談社,2009
『子どもの結核』青木正和、森亨,ぎょうせい,1995